気候も茶葉も、毎年変わります。それでも「変わらない味」を届ける。それが私たちの品質です。
品質は、検査機器や規格書だけから生まれるものではありません。文政元年(1818年)から茶を選び、見立て、合わせつづけてきた目の蓄積——それが私たちの品質の土台です。
明治36年(1903年)、第五回内国勧業博覧会で煎茶と道明寺の二品が審査で認められ、京都府から褒状を受けました。品質が公に顕彰された、最初期の記録です。
1962年(昭和37年)、日本初の緑茶ティーバッグをつくったとき、私たちは中身にくず葉を使いませんでした。本来の茶葉を、通水性を高めた袋に詰める——「手軽さのために味を落とさない」という決断です。昭和46年(1971年)には、鮮度を守るため窒素ガス充填包装をいち早く導入しました。品質のためなら、業界の先陣を切る。それが私たちの歴史です。
そして2023年、菊乃井・村田吉弘氏と共同開発した「無碍香茶」がG7広島サミットの昼食に供されました。二百年の品質が、世界の要人の食卓で証明された瞬間です。
私たちの品質基準の、さらに上位にある問いはひとつです。
「歴史に恥じないか。お客様のためになるか。」
土壌や栽培の管理状況が確かな茶園の茶葉であること。覆下栽培の被覆期間が適切に管理されていること。産地・茶園までさかのぼれるトレーサビリティを確保します。
摘採日が適期であること。高級茶用は、適期に手摘み(または丁寧なハサミ摘み)されたものに限ります。
葉肉が厚く、濃緑色で光沢があること。古葉や茎の混入がないこと。
湯を注いだ瞬間に立ちのぼる香りを官能検査。蒸れ臭・煙臭などの異臭がなく、品種特有の香気があるかを確かめます。
性格の異なる茶葉を見極めて配合する「合組」は、毎年変わる気候のなかで「変わらない味」を再現するための技術です。色の冴えた茶葉、香りの高い茶葉、旨味の深い茶葉——それぞれの個性を組み合わせ、単一の茶葉では出せない深みと安定をつくります。配合はすべて記録し、ロットごとに管理して再現性を担保します。
一方で、すべての茶を合組するわけではありません。その年、その畑の出来が際立つときは、あえて単一の茶葉のまま仕立て、一期一会の個性を活かした商品にします。「変わらない味」と「その年だけの味」。どちらで仕立てるかを見極めることも、茶師の仕事です。
製品化の前に、すべての茶はふたつの検査を通ります。
機械による成分分析を行い、品質を数値でも確認します。感覚だけに頼らず、データで裏づける。
長い歴史で培われた暗黙知を、次の世代へ受け渡す。
伝統を守ることは、変化しないことではない。現代に合わせて進化させることが真の継承。
独りよがりの商品づくりを排し、お客様の声を「改善の種」として歓迎する。
「これくらいで良いだろう」を許さない。見えない部分にこそ手間をかける。
お客様が口にした瞬間の笑顔に責任を持つ。手元に届くまでの鮮度管理まで品質のうち。
日本最高峰の産地の名に恥じない商品と振る舞いを。
環境に配慮した資材を選び、茶農家の持続可能な経営を支える取引を行う。茶を未来へつなぐ。